概要:

中国のIT巨人・Alibabaが、フラッグシップAIモデル「Qwen 3」のリリースを2025年4月中に予定していることが報じられました。これは、同社の次世代自然言語モデルであり、近年急速に競争が激化している「LLM(大規模言語モデル)」市場における最新の一手といえます。

Alibabaはすでに2024年1月に「Qwen 2.5-Max」という高性能モデルを発表し、特にコスト効率と応答性の高さで注目を集めました。このリリースは中国の旧正月に合わせて行われ、その素早いタイミングと技術力が話題になりました。Qwen 3は、その後継としてさらに強化されており、自然言語処理、コード生成、多言語対応、そして企業向けAPIとしての汎用性を備えているとされています。

興味深いのは、この発表がOpenAIやAnthropic、Mistralなど、米国や欧州の企業による高性能モデルの公開が続く中でなされたことです。AI分野の競争は、もはや「技術だけ」ではなく、「誰がどの国でどんな文化的背景のもとに開発されたAIを使うか」という地政学的な意味合いすら帯びてきています。

Qwenシリーズは、政府機関や教育機関、民間企業での導入が進んでおり、中国国内のみならずアジア市場全体への浸透も狙っています。AlibabaはAIクラウドサービスとの連携を強め、開発者向けのツールキットも順次公開中。これにより、オープンなLLMエコシステムの中でも独自色を放つ存在となることを目指しているようです。

果たして、Qwen 3はChatGPTやClaudeといった米国製モデルにどこまで肉薄できるのか。発表が待たれる今、中国発のAI技術がグローバルな潮流にどう切り込んでいくのかにも注目です。

参考リンク:
Reuters – Alibaba prepares flagship AI model “Qwen 3”