AI業界で注目を集めている「リサーチエージェント」分野で、Hugging Faceが見せたスピードと技術力が話題を呼んでいます。2025年2月、OpenAIが発表した「Deep Research」は、ユーザーの曖昧な問いに対し、自律的に調査・情報収集・要約を行い、まるで調査員のようなレポートを生成する次世代AIエージェント。この高度な機能を再現すべく、Hugging Faceの開発者チームはわずか24時間で対抗馬となるオープンソース版の「Open Deep Research」を開発しました。

このプロジェクトは、実は社内のハッカソンからスタート。チームはLangChainやLlamaIndexなど既存のオープンソースツールを組み合わせ、Chain-of-Thought(思考の連鎖)と呼ばれる思考手法を活用することで、AIがステップごとに思考しながら調査・判断できる仕組みを作り上げました。

開発されたエージェントは、Web検索、APIコール、PDF解析、コード実行など複数のタスクを動的に組み合わせ、最終的な出力までを一貫して自動で行います。特筆すべきは、Hugging Faceが開発したこのモデルが、AIベンチマークテスト「GAIA(General AI Assistant)」で55.15%の精度を記録した点です。これは、OpenAIの商用モデル(67.36%)に肉薄する数値であり、業界に衝撃を与えました。

また、このプロジェクトは単なる技術デモではありません。Hugging Faceは開発内容をGitHub上で完全に公開し、世界中の開発者が自由に参加・改善できる環境を整えました。これにより、コミュニティベースの改良がすでに始まっており、ユーザーからは「民主化されたAI研究ツール」として高く評価されています。

ただし課題もあります。アクセスが殺到しているため、回答までに数時間を要するケースがあり、リアルタイム性やスケーラビリティへの対応が今後の焦点となるでしょう。それでも、このスピードと透明性、そしてコラボレーションを武器にしたHugging Faceの試みは、クローズドな商用AIに対抗する新しいムーブメントとして注目を集めています。

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